【12】復職後の話⑦「対決・最大の過失」

「スマホを見せてもらえる?」

ここまで強い態度で旦那と話したことは今までになかった。

オロオロとしている姑には
寝室へ戻ってもらい

深夜のリビングで
旦那とふたり向かいあう。

『こんなに幼い顔をしていただろうか。』

久しぶりにまじまじと見た旦那は
私より年上のはずなのに不思議とずっと幼く見えた。

こわばった表情の旦那からスマートフォンを受け取り
LINEのトーク履歴やSNSを見てみると

浮気相手と思われるアカウントは一切ない。

どこを見ても『ない証拠』をしばらく探して
「あ」と気づいた。

「もしかして今日の間に消した?」

私がバカだった。

昨日証拠を突き付けてから今までに
旦那が証拠を消すための時間はたっぷりあった。

考えればわかりそうなことだけれど
どこかで旦那が『きちんと話し合ってくれる』期待があったのかもしれない。

ずっと沈黙を貫いていた旦那が
しばらくしてようやくもごもごと口を動かす。

「あれは一度だけそういう店にいったときのだよ。」
「知らない人だし、連絡とかはとってない。」
「仕事の飲み会帰りで酔ってて、たぶんノリで行ったと思うけどすぐに寝ちゃったし。服を脱がされたことも覚えていない。」

今日一日考え抜いたのか。
旦那が昨日よりも多少しっかりした口調で答えた。

怒りなのか悲しみなのかわからないけれど
頭が砂嵐がかかったように真っ白になって、膝裏が震えた。

一言の言葉も出せずに唖然としていると
突然旦那が吐き捨てるように息をつく。

「本当なら俺だってあんなところいかないんだよ」
「家でできないんだから俺がそういう場所に行くのは仕方ないだろ」
「あんな紙切れで鬼の首とったような顔しやがって」
「被害者ヅラするのもいい加減にしろ」

旦那の中でなにかが堰を切ったかのようだった。

大声で叫びながら立ち上がると
私に近寄り手からスマートフォンをむしりとる。

「やめて」

あまりの勢いに驚いて
私は旦那からスマートフォンを奪い返すこともできずに

気づけば身を守ろうと
両手で頭を隠していた。

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この記事を書いた人

夫と別居中の40代主婦です。
婚外恋愛中の彼とのことや他愛もない毎日を投稿していきます。同じような境遇のかたと繋がれたらとても嬉しいです。

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