鏡を見るとまるで別人のようにまぶたが浮腫んではれ上がっている。
『休みの日でよかった』
旦那から暴力こそなかったものの
昨夜はその後も旦那からの一方的な物言いが続き
最終的に結論は出ないまま
「とにかく俺は知らないから」
という旦那の言葉を最後に
お互いの自室に戻った。
一晩泣き腫らしたことは明らかで
職場の人に見せられる顔ではない。
もう旦那と話しあう気力すら残っていない。
『離婚に向けて動かないと』
ぼうっとする頭がようやく起きてきて
唯一自分の味方となってくれそうな例の『写真』のことを思い出した。
『あの写真さえあればスムーズに離婚もできるはず』
一昨日に旦那との話合いで見せてから
写真はドレッサーについている簡単な鍵付きの引きだしに入れていた。
鍵を鞄から出して
ドレッサーの引き出しに手をかけると
鍵をかけているはずの引き出しが開いた。
驚いて中を見ると
しまったはずの写真と
『なにかあった時のために』と
毎月少しずつ貯めていたお金が無くなっていた。
コメント