「みくさんご飯は?」
先に起きていた姑が『次の言葉を言いたくてたまらない』様子で訪ねてくる。
昨晩も何とか旦那を退けたもののなかなか眠りにつけず
徹夜を覚悟し始めた明け方に糸が切れたように寝入った結果
私は数十年ぶりの寝坊をやらかしてしまった。
「ごめんなさい、体調が悪くて昨日は寝付けなくて」
「家事はやる約束でしょ」
「私たちのご飯はどうしたらいいの?」
五月雨に話しかけてくる姑の声を背中で聞きながら
私は素知らぬ顔でテレビを見ている旦那を恨めしく見つめた。
簡単な朝食をつくって昼食代を姑に渡そうとしたとき
「あ」
お金を受け取ろうとした姑の手があたり
マグカップの中のコーヒーが派手に散らばった。
ぬるくなっていたため姑に火傷はなかったけれど
椅子にかけてあった旦那のコートが盛大に汚れた。
『今日会社に行くときにクリーニングに出そう』
慌ててコーヒーをふき取ってコートのポケットの中身を出すと
ティッシュや手袋に交じって『あるもの』が出てきた。
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